注:本記事はiMagazine No.11に掲載されたものです

サーバー統合を背景にした2重化体制の構築

三菱倉庫株式会社

6支店単位のサーバー統合を実施
事業継続に向けHAソリューション導入


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  • 数十台のSystem iを6支店のサーバーへ統合
  • 障害対策をメインに同一サイトへバックアップ機を導入
  • ホットスタンバイ体制の確立にMIMIXを採用
! 6支店単位にSystem iをサーバー統合
 三菱倉庫の前身である東京倉庫が創設されたのは1887年。1918年に現在の三菱倉庫への社名変更を経て、同社は2007年に創設120周年を迎えた。
 同社の事業は、大きく物流と不動産事業の2つに分類され、物流はさらに倉庫事業・港湾運送事業・国際輸送事業に分かれる。
 120年の伝統を誇る物流事業は、日本の倉庫業界でトップレベルの規模である。国内外一体となったロジスティクス事業の拡充を旗印に、各国の子会社・関連会社が連携しながら、地球規模で倉庫・配送・輸送事業を展開。ビジネスのパイプラインを増やし、長く、太くしている。また不動産事業では、オフィスビル・商業施設・住宅と積極的にビジネスを展開している。
 同社では事業部ごとに、個別に情報システムを構築してきた経緯がある。倉庫事業を例に取ると、1989年に入出庫・在庫管理・配車・配送業務の支援を目的に、第1次オンラインシステムを全面刷新した「MIWS/MESH(ミューズ・メッシュ)」が、AS/400とメインフレーム上で稼働した。1988年にAS/400が発表された直後の導入であり、同社はAS/400の第1号ユーザーである。
 当時は各拠点単位にAS/400を導入し、その総数は40台以上に達していた。しかしマシンの性能向上とともに、エリアの近い数拠点分を1台のAS/400に統合するなど、この20年間で段階的にサーバー統合を実施してきた。最も直近では、東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・福岡の6支店単位でサーバーを統合するプロジェクトが2年前に完了している。この統合プロジェクトにより、例えば東京支店では、それまで管轄内の各拠点で合計9台を導入していたのが、1台のSystem i520へ集約された。
 この大規模なサーバー統合の過程で浮上してきたのが、BCP(事業継続計画)の必要性である。
 同社はメインフレームのユーザーでもある。入出庫伝票や庫内作業指示書など支店ごとの特殊な要件に対応する必要のある業務は、分散システムとしてSystem i上で実現。その一方、メインフレーム上では請求業務や在庫確認・報告など全社集約的な業務を支援するという役割分担で運用を進めてきた。
 System iからメインフレームへはリアルタイムにデータを更新しているが、入出庫データや帳票作成用のデータなど、System i側でのみ管理するデータも多い。
「System iは非常に信頼性の高いサーバーですが、20年以上に及ぶ運用期間には、DASDの障害や電源トラブル、部品交換など、さまざまな理由によるシステム停止を経験しています。サーバー統合前であれば、システムが停止しても、1拠点での業務停止にとどまりますが、サーバーを統合した現在では影響が広範囲に及び、深刻な業務停止を引き起こしかねません」と語る森高幸課長(情報システム部情報システム課)は、さらに次のように続ける。
「物流は重要な社会インフラの一部であり、日々、食品や飲料、医薬品などを運び続けています。物流業務の停止は、社会に多大な影響を与えるので、社会的責任という観点でも、事業継続を支えるインフラの整備は急務であると考えています」

! 事業継続の実現に向けMIMIXを導入
 同社がBCPの一環として検討したのが、サーバーの2重化を実現するHAソリューション「MIMIX ha Lite」(三和コムテック)の導入であった。
 同社では障害対策をメインとして、同一サイト内に同一機器構成のバックアップ機をスタンバイさせ、障害発生時には手動で物理的切り替えを実施し、3時間をめどに完全業務復旧を目指した。バックアップ機としては、サーバー統合の過程でスペックを調査し、ある拠点で運用していた最も高性能な1台(520)を活用することとした。
 製品選定の開始は2006年。HAソリューションについては、同社のシステム構築を支援するグループ会社のダイヤ情報システム株式会社が、当時提供されていた4製品を調査し、コストと機能面を評価してMIMIX ha Liteを提案。それを受けて、2007年秋に導入を決定した。2008年7月、統合サーバーが本稼働するのと同時に、MIWS/MESH上のほぼすべてのオブジェクトおよびデータを対象に、MIMIXによるホットスタンバイ体制がスタートしている。
「導入に際しては、障害発生時に情報システム部門、エンドユーザー部門、そして外部のシステム会社のそれぞれが担当すべき作業内容や作業手順を明確化し、緊急時の連絡体制も含めた作業マニュアルを策定しました。MIMIXの導入後、各拠点の担当者を交え、システム障害を想定した訓練を2回実施しましたが、実際に切り替え作業を行う段になると、運用面や人的作業のさまざまな問題が見えてきました。それらをマニュアルづくりや体制に反映しつつ、定期的に訓練を継続しようと考えています」と語るのは、東京支店 情報システム課の高崎真史課長である。
 2重化体制はまず、モデル事例として先行的に東京支店で実現し、今年度内には残る5支店でも着手する予定だ。
 今回の統合では、2重化コストを差し引いてもコスト削減の効果は大きい。また情報システム部門が各拠点でのサーバートラブルに対応していた頃に比べると、運用管理の負荷も劇的に改善されている。
 現在同社では、20年間運用してきたMIWS/MESHの全面再構築に向けて動き出している。事業継続を支えるインフラ基盤の整備を経て、同社のSystem i運用歴には新たなページが書き加えられそうである。

三菱倉庫のシステム概要

[顔写真1] [顔写真2]
COMPANY PROFILE
設立:1887年
本社:東京都中央区
資本金:223億9300万円(2008年3月末)
売上高:1609億7700万円(2009年3月既連結)
従業員数:2713名(連結、2009年3月末)
http://www.mitsubishi-logistics.co.jp/