注:本記事はiMagazine 8に掲載されたものです

事業継続/2重化

株式会社アールアンドシーツアーズ

阪神淡路大震災直後からMIMIXを導入し、得意先の情報を守る2重化体制を構築

  • 阪神淡路大震災翌年の1996年に2重化体制を構築
  • 基幹システム「R2D2」の全ファイルを同期
  • バックアップ機では新しいデータ交換の仕組みを開発中
! 大震災の惨状を見てHAの重要性を痛感
 旅行代理店に向けて、パッケージツアーからランドパッケージ、オプショナルツアー、飛行機やホテルの単体手配など多種多様な商品を提供する、旅行商品のホールセラー的な役割を果たすのがアールアンドシーツアーズである。
 もともとはグアム地域のツアーオペレータとして事業をスタートしたが、順調に業績を拡大し、2006年にJTBグループに参加した。今年はホテルと航空券を自由に組み合わせられる「ダイナミックパッケージ」を発売するなど、企画力が勝負の旅行業界でさまざまなヒット商品を誕生させてきた。
 同社がSystem i(9406-520)上で運用するのは「R2D2」と呼ばれる基幹業務システムである。旅行商品に関する販売管理・仕入管理・在庫管理・生産・商品造成・販売予約・統計処理など、事業の中核を支援する旅行業務システムである。既に1988年から稼働しており、その後、R2D2に改良を加えつつ、世界各地の現地法人を支援する業務システム「C3PO」も稼働した。
 一方、インターネットへの取り組みも2001年頃から本格化しており、今ではシステム開発の相当部分を占めている。一般消費者向けのインターネットによる販売サービスは順調に拡大し、以前は旅行代理店向けの販売だけで構成されていた売上のシェアを伸ばしている。
 また旅行代理店向けのWebアプリケーションも開発しており、旅行商品の検索・予約といった業務がインターネット経由で行えるようになっている。
 HAソリューションを利用したバックアップ体制の取り組みも早い。1995年に阪神淡路大震災が発生すると、その翌年に当時のAS/400を2台導入した2重化体制を構築した。導入したHAソリューションは「MIMIX」(三和コムテック)。その後、新バージョンが発表される度にリプレースして機能を高めつつ、現在に至るまで12年間、一貫してMIMIXを使い続けてきた。
「阪神淡路大震災の惨状を目の当たりにして、データバックアップの重要性を痛感しました。当社のデータのみならず、得意先のデータもお預かりしているわけですから、その情報資産を守るためにも地震の翌年すぐに、2重化体制の構築に着手しました。現在は導入当初に比べると、業務システムの範囲が大きく拡大しており、障害発生時の影響の大きさを考えると、MIMIXの重要性はさらに高まっています」と当時を振り返るのは、システム部の大平雅義部長である。
 現在は本番機およびバックアップ機として利用する2台の520を、外部のアウトソーシングセンターに設置し、障害対策・災害対策に備えている。
 MIMIXではR2D2のライブラリー全てに対して、データおよびオブジェクトをバックアップ機へ同期している。
 幸いにして現在まで、障害発生のために本番機からバックアップ機へ切り替えた経験はないという。

! XMLとWBIを採用した新しいデータ交換の仕組み
 同社ではインターネット関連の新しいシステムを現在開発中だ。
 これは、取引先と同社のSystem iの間で、XMLを利用しながら旅行商品の予約に関するデータ交換を実行するWebシステム。2005年、日本旅行業協会は、従来各旅行会社が個別に定義していた旅行業EDI仕様の標準化を目的に、B2Bのデータ交換フォーマットとして「Travel XML」を制定した。同社では連携ツールとして、System i上で稼働する「WebSphere Business Integration Server Express(WBI Server Express)」(IBM)を採用。Travel XMLに準拠した同社仕様のデータ交換方式の策定を進める一方、WBIのXMLアダプターを準備して、XMLによるデータ交換を可能にしようと構想したのである。
 取引先である旅行代理店はインターネット経由で、同社のSystem iに対し、パッケージツアーやランドパッケージに関する予約を要求する。在庫がある場合は、同社から取引先へ予約番号を発行する。そして予約した顧客の属性情報がSystem iへ送られて、予約が確定するという流れだが、こうしたやり取りが全てXMLで行われる。このほかにも、スケジュールや内容など旅行商品の情報照会や在庫照会なども可能だ。
 WBIを導入し、開発に着手したのは2005年。他システムの開発が先行するなどの事情があったため一時中断したが、再度開発をスタートさせた。
 このシステムの強みは、同社がXMLによるAPIを開示しているため、取引先が自由にユーザー・インターフェースを準備できる点にある。当然、それに対応できる大手の旅行会社やインターネット・トラベル・エージェンシーのような、インターネットで旅行商品を販売している旅行会社が対象となる。
「インターネットでの旅行予約は急増しており、取引先からのこうしたデータ交換の要求に応えることが強く求められます。当社では業界に先駆けて、いち早くAPIを開示することで、お客様のニーズに応えるとともに、業界内でのイニシアティブを確立することにつながると考えています」と、システム部システム企画チームの小野紫織リーダーは語る。
 現在、同システムの開発機はバックアップ機である520上で進められている。520のリソースにまだ十分な余裕があるため、本稼働後の実行環境もバックアップ機である520上で設定する予定だ。
 基幹業務システムからWebアプリケーション、そしてその運用を舞台裏で支えるHAソリューションまで、同社は旅行ビジネスの強力な武器としてITを意欲的に活用しているようだ。



COMGPANY PROFILE
設立:1985年
本社:東京都中央区
資本金:7000万円
売上高:280億円(2007年12月期)
従業員数:216名(2007年12月)
http://www.rctours.jp/